No.5

夜明け前
診断メーカーアンケート/サクヤ視点

しのぶへのお題は
・プレゼントを頂戴
・普段と変わらない一日だと思っていた
・媚びるような視線
・夜明け前
です。アンケートでみんなが見たいものを聞いてみましょう
 https://shindanmaker.com/590587

という奴の結果で書きました。
【夜明け前】です。
 夢あとのキース&サクヤのお話。

 夜が朝へと溶けてゆく、その直前の空が好きだ。山の端や建物の影からじわりじわりと陽光が侵蝕しようとするその瞬間を、あの人の隣で何度か見つめていた。
 その記憶はまだ鮮やかさを保っていて、けれどそれでも、以前よりは明らかに色褪せていて。まるで小さな画像を無理やり引き伸ばしたみたいなそれが、今までと違う胸の疼きをもたらす。
「眠れなかったのか?」
 背後から唐突に声をかけられ、慌てて振り返った。こっそりと寝床を抜け出してきたつもりだったのに、どうやらお見通しだったらしい。多忙を極めて疲れているだろう人の睡眠時間を奪ってしまったことに良心が疼く。
「ごめん。起こした?」
「いや、起きていた」
 当たり前のように隣にきて、当たり前のように肩にふわりとショールが掛けられた。日中は暖かいとはいえ、陽ものぼらないこの時間はまだまだ冷える。そのひやりとした空気がまた好きなのだけど、どうやら彼にとっては心配の種でしかなかったらしい。相変わらず、気遣いが細やかすぎて思わず小さく声に出して笑ってしまった。
「何かおかしかったか?」
「ううん。キースはやっぱりキースだなと思って」
「どういう意味だ?」
 よくわからないと訝るキースに笑みだけ返し、ほのかに赤が滲み出した方角を見遣る。
 朝が夜を、溶かしていく。
 私の夜も、少しずつ溶かしていかなくてはいけないのだろう。まだもう少し、それには時間がかかるだろうけども。
「ありがとう、キース」
「別に礼を言われるほどのことじゃないぞ?」
 不思議そうに返される言葉に、ショールのことじゃないんだけどと思いつつも、やっぱり私は微笑むしかできなかった。畳む

#番外編

夢のあとさきそめし朝